COLUMN

いまの私も未来の地球も幸せに① 廃棄される布製品がおしゃれに生まれ変わる「アップサイクル」ファッション

持続可能な環境・社会・経済を目指すサステナビリティという考え方が世界中で広がっています。
このコラムでは、毎日の衣・食・住・遊を幸せにするサステナブルアクションを紹介します。
今回は、これまで廃棄されてきた布製品に新たな付加価値をつけて生まれ変わらせる「アップサイクル」ファッションを取り上げます。

目次

  1. 「アップサイクル」とは
  2. 古くて新しいアップサイクルファッション
  3. アップサイクルファッションが注目される背景
  4. アウトドアファッションからウェディングドレスまで
    1. Cotopaxi DEL DÍA COLLECTION
    2. 45R
    3. BEAMS COUTURE
    4. MIRROR MIRROR UPCYCLE DRESS
  5. おわりに

「アップサイクル」とは

「アップサイクル」とは、不要になったものに新たな付加価値をつけて生まれ変わらせることを指します。
リサイクルが、不要になったものを原料に戻して再利用するのに対して、アップサイクルは、原料まで戻さずに素材をそのまま生かして、デザイン性や機能性などを加えたより価値の高い製品を生み出すのが特徴です。

古くて新しいアップサイクルファッション

ファッションの分野では、穴や破れた箇所に刺繍を施した布を縫い付ける日本の伝統的な刺繍「刺し子」や、衣服の破れをカラフルな刺繍でお直しするイギリスの「ダーニング」、はぎれを縫い合わせて美しい一枚布に仕立てる欧米の「キルト」など、布製品を大切に長く使い続けるための文化が世界各地に存在します。

こうした古くから受け継がれる知恵は、布製品に新しい価値をつけて生まれ変わらせる伝統的なアップサイクル文化と言えます。
また、古着をリメイクして新たな商品を生み出すことも、衣服に新しい付加価値をつけて寿命を伸ばすアップサイクルファッションの一つです。
そんな古くて新しいアップサイクルファッションが、いま注目されています。

アップサイクルファッションが注目される背景

アップサイクルファッションが注目される背景には、商品生産の過程で発生する残反やシーズンごとに生まれる大量の売れ残り商品、ファストファッションの隆盛によって消費者が気軽に買って気軽に捨てることなど、ファッション産業が抱える大量廃棄の問題があります。

環境省の調査によると(注1)、日本では1年間に約50万トンの衣服が捨てられ、その95%が焼却・埋め立てられています。
なんと1日あたり大型トラック130台分もの衣服が焼却・埋め立てられているのです。
この大量廃棄問題は「フードロス(食品廃棄)」になぞらえて「ファッションロス(衣料廃棄)」と呼ばれています。

こうした背景から、衣服の生産から廃棄までの環境負荷を考慮したサステナブルなファッションへの関心が高まり、アパレル業界では問題解決に向けた行動の一つとして「アップサイクル」への取り組みが活発になっています。

アウトドアファッションからウェディングドレスまで

いま、アップサイクルファッションの取り組みは、アウトドアファッションからウェディングドレスまで広がっています。
日本で入手できるアップサイクルファッションのブランドを紹介します。

 

Cotopaxi DEL DÍA COLLECTION

 

アメリカ発の社会や環境に配慮したアウトドアファッションブランドCotopaxiは、他社製品の大量生産の過程で生まれる端材を使った一点もののカラフルな配色のバッグを、DEL DÍA COLLECTIONとして展開しています。
DEL DÍA COLLECTIONは、フィリピンの縫製工場の職人が配色デザインから縫製まで担い、ファッション産業の生産プロセスにおける環境負荷の低減だけでなく、途上国の縫製労働者が職人として力を発揮できるものづくりを実現しています。

 

45R

日本のブランドでは、「100年先も受け継がれる服づくり」を掲げ、素材開発から縫製までメイド・イン・ジャパンにこだわる日本発のファッションブランド45Rが、デッドストック品に新たな加工やデザインを加えて生まれ変わらせた商品を販売しています。
45Rはお直しやクリーニングサービスも自社で提供しており、商品を長く大切に使い続けてほしいというブランド姿勢を打ち出しています。

 

BEAMS COUTURE

日本のファッション大手BEAMSも、デッドストック品に古着やリボンなどを加えて個性豊かな一点ものの商品に生まれ変わらせるBEAMS COUTUREというブランドを展開しています。

 

MIRROR MIRROR UPCYCLE DRESS

さらにウェディング業界も、レンタルドレスの品質保持のためにまだ着用できるドレスを廃棄するというファッションロスの課題を長年抱えてきました。
そこでドレスショップMIRROR MIRRORは、廃棄予定の複数のドレスから状態の良いパーツを取り出して、新しいデザインの一点もののドレスに生まれ変わらせるアップサイクルプロジェクトを始めています。

MIRROR MIRRORのアップサイクルストーリー動画編はこちら。

おわりに

お気に入りの服を、アップサイクルしながら、大切に使い続けること。それがこれからの「おしゃれ」なのかもしれません。
アップサイクルファッションの選択肢が増えつつある現在、おしゃれな一点ものであり、いまの私も未来の地球も幸せになれるアップサイクル製品を、あなたも手に取ってみませんか。

注1 環境省「サステナブルファッション これからのファッションを持続可能に

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