とてもおばあちゃん子なご新婦様。
『中座でおばあちゃんと一緒に歩くんです!』と、そのシーンを楽しみにしていました。
そしてもう1つ、ご新婦たっての希望がありました。それは『ポピー』を飾ること。おばあちゃんの庭に咲いていた大好きなお花です。
小さいころの記憶の中のおばあちゃんは、
笑顔で、楽しそうに庭いじりをする姿でした。
そんな後ろ姿と、おばあちゃんが大切にしていたポピーがずっと思い出に残っているそう。
今は車いすなので、
庭の手入れからは少し遠のいています。
だから結婚式当日は思い出のポピーを飾ってあげたい。
そういった思いがありました。
しかし、ポピーの咲く時期がずれていることもあり、当日準備できるかどうかは厳しい状況です。
フラワーコーディネーターは直前まで探し続けましたが、とうとう前日になっても入荷されません。
『結婚式当日の朝まで待ちましょう。』
私たちはあきらめませんでした。
『ご新婦と、おばあ様の笑顔が見たい。』
その願いが通じたのか、前日まで入荷しなかったポピーが、結婚式の当時に準備ができることになったのです。
『ポピーが準備できます!』
『おばあちゃんのポピーを飾れます!』
その一報に、スタッフの笑顔があふれます。
準備ができたことをご新婦に伝えるために、
サプライズでお控室にポピーを飾っておきました。結婚式場に到着されて、控室の扉を開けたときご新婦は、とびきりの笑顔です。
おばあ様にも喜んでいただきたい。
そう思うと、自然と言葉が出てきました。
『中座のタイミングで、おばあ様にポピーをプレゼントして、一言伝えてから歩きませんか?』
『そうしたいです!きっと喜んでくれると思います!』ご新婦はすぐに提案を受け入れてくださいました。
そしてポピーを準備してくれたフラワーコーディネーターが中座用のミニブーケを作り、おばあさまは思い出のポピーを胸の前ににぎりしめながらのご中座となりました。
その間おばあさまは、ポピーを大事そうに見つめ、「ありがとね、ありがとね。」と周りのスタッフに話しかけていたそうです。
結婚式から半年後、おばあさまの元に、
ポピーのアフターブーケが届く予定です。
『長生きする理由ができちゃったわね。』
お帰りになる際、
陽気な笑顔でおっしゃっていました。
~エピソード⑫『おばあちゃんのポピー』~