COLUMN

子どもの好き嫌い、どうやって対応したらいいの?

乳幼児期の子どもの体にとって、栄養はとても大切なもの。
だからこそ、子どもたちには
「毎日、様々な食物をバランス良く、たくさん食べて欲しい」と願いますよね。でも現実は、
「せっかく時間をかけて作ったおかずなのに、全然食べてもらえなかった…」
「今日も、白米しか食べなかった…」など、
子どもの好き嫌いによって、偏った食事になりがちに。

その度に、パパ・ママは心配になったり、時には腹立たしく感じることもあるのではないでしょうか。
今回は、そんな子どもの好き嫌いへの対応について、一緒に考えていければと思います。

目次

  1. まずは子どもの好き嫌いが起こる原因を、知ろう!
  2. 子どもに、嫌いな食べ物を無理強いするのはNG!?
  3. 好き嫌いをする子どもへの、適切な対応は?
    1. 調理の仕方を見直してみる
    2. 盛り付けを工夫をしてみる
    3. 楽しい食卓をつくる
  4. おわりに

まずは子どもの好き嫌いが起こる原因を、知ろう!

私たちの舌や喉には、「味蕾(みらい)」という味覚センサーがあり、
ここで5つの基本の味(甘味・旨味・塩味・酸味・苦味)を判断しています。
5つの味にはそれぞれ次のような役割があり、「この食べ物は口にしても大丈夫かな?」
「これは体に必要かな?」と、体を守るために機能しています。

◎「甘味」・・・ご飯、パン、麺類などに含まれる炭水化物から感じる味で、“エネルギー源”を知らせる
◎「旨味」・・・肉、魚などに含まれるアミノ酸から感じる味で、“タンパク質”を知らせる
◎「塩味」・・・塩に含まれる“ミネラル”を知らせる
●「酸味」・・・腐敗物の存在を知らせる
●「苦味」・・・毒物の存在を知らせる

◎で示した3つの味は、生きる上で必要な、体にとって不可欠な食べ物を伝えるため、
本能的に<好まれる味>になります。

一方で、●で示した2つの味は、危険な食べ物を伝える味であるため、
最初は受け入れがたい<苦手な味>なのです。
ピーマンなどの苦味の強い野菜や、酸味の強い果実を、
子どもが嫌がるのは、いわば“自然の反応”というわけですね。

また味蕾の数が多いほど、味を感知する力は高くなります。
子どもは大人に比べ、はるかに味蕾の数が多いことから、子どもの好き嫌いは、
「苦味」や「酸味」をより敏感に感知しているからと言えるのです。

子どもに、嫌いな食べ物を無理強いするのはNG!?

好き嫌いの原因が分かったところで、果たしてどう対応していくのが良いのでしょう。
まず、何よりも心に留めておきたいことは、<無理やり食べさせることはNG>ということ。

「栄養があるから食べなさい!」「お皿がピカピカになるまで、ご馳走様はしちゃダメよ」など、
つい子どもに食べることを無理強いしてしまいがちですが、これは子どもにとっては脅迫と同じ。
嫌なものを無理やり食べさせられることで、それを好きになることはまずありません。
それどころか、嫌な体験として心に残り、ますます苦手さを感じてしまうことも…。

実は、嫌いな食べ物が食べられるようになった理由を調べた調査によると、
<成長に伴い、自分から食べたいと思ったから>という理由が、
<親や先生から食べるように言われたから>の理由よりも、多いと言う結果が出ているそうです。

まずは、「何が何でも食べさせよう!」「嫌いな野菜を克服させなければ!」と
肩に力が入り過ぎていないか、パパ・ママ自身が振り返り、対応を見直してみることが大切ですね。

好き嫌いをする子どもへの、適切な対応は?

それでは、好き嫌いの対応についていくつかご紹介していきましょう。
全部を試す必要はありませんが、「これなら無理なくできるかな?」というものや、
「ちょっと試してみたいな」というものから、取り入れてみてください。

調理の仕方を見直してみる

顎や胃腸が発達途中の子どもにとって、固すぎたり、大きすぎるものは食べにくく、
好き嫌いの原因になっていることも。また食感が変わることで、食が進む子もいるので、
お子さんの食べる様子を丁寧に見ながら、以下を参考に調理の仕方を工夫してみるとよいでしょう。

・食べにくい野菜は、繊維を断つ方向にカットしてみる
・子どもの口のサイズに適した大きさにカットする
・片栗粉やくず粉でとろみをつけ、舌触りをよくしたり、飲み込みやすくする
・甘味、塩味などで、味付けを変えてみる

盛り付けを工夫をしてみる

たくさん食べて欲しいという想いで、ついお皿に多く盛り付けてはいませんか。
特に苦手な食材については、少なく盛り付けて視覚的な負担を減らすことも大切です。
また、匂いや色彩も食欲を促す大切な要素になるので、子どもが興味を惹く盛り付け方や、
食器・食具に変えてみることも一案です。

楽しい食卓をつくる

大人と子どもの食事時間が別々で、子どもが一人でご飯を食べていることはありませんか。
できるだけ一緒に食卓を囲み、「美味しいね!」と声をかけながら、
楽しい食事環境を作ることが何よりも大切です。

実は、食事のときの体験が好き嫌いに結びつくことは多くあります。
例えば、食後に腹痛や下痢などの体調不良を経験した場合に、
直前に食べたものに嫌悪感を抱くことはしばしば見られますね。

これは<味覚嫌悪学習(嗜好学習)>と呼ばれ、好き嫌いは、味そのものでなく、食卓の環境や、
体の状態などいくつもの情報が重なって学習されていくことがわかっているのです。
特に子どもは記憶による影響を受けやすいため、“誰かと一緒に楽しく食事をする”
“美味しく食べる”体験を重ねることが、好き嫌いを軽減する大切な過程にもなるでしょう。

以上のことを踏まえ、「あまり食べてくれない」「好き嫌いが多い」など、
子どもの食事で悩んだ時には、まずは、食事の環境を整えて“食べることは楽しい!”を、
体験するきっかけを作ってあげられるとよいですね。

おわりに

いかがでしたか。
今は、色々な食べ物が簡単に手に入る便利な世の中になりました。
たとえ、好き嫌いにより特定の食材を食べられない場合でも、
別の食品で充分に栄養を補うことも容易です。

子どもの好き嫌いについて、ぜひ難しく考えすぎずに、楽しく、無理なく
お子さんとの食事時間を過ごせるようにしてみてくださいね。

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