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いまの私も未来の地球も幸せに② 欲しいものを欲しい量だけ買えて、プラスチックゴミも減らせる「バルクショップ」

持続可能な環境・社会・経済を目指すサステナビリティという考え方が世界中で広がっています。このコラムでは、毎日の衣・食・住・遊を幸せにするサステナブルアクションを紹介します。今回は、フランスやドイツなどの環境先進国で普及している「バルクショップ(Bulk Shop)」を取り上げます。

目次

  1. エコバッグは定着したけれど、プラスチック包装ゴミは減らない
  2. 容器を持参して量り売りで買うバルクショップ
  3. 日本でもバルクショップが広がりつつある
    1. バルクフーズマーケット
    2. ビオセボン
    3. ecostore
  4. おわりに

エコバッグは定着したけれど、プラスチック包装ゴミは減らない

海洋プラスチック汚染問題を契機とするレジ袋有料化で、日本ではエコバッグが定着しました。しかし、生活必需品の多くはプラスチック包装されたままで、毎日たくさん出るプラスチック包装ゴミを捨てるのも大変です。

最近の日本の消費者意識調査注1でも「ばら売りや量り売りを多くするなど商品の包装やトレイは必要最小限にする方が望ましい」と考える人が6割近くに上っています。そんな悩みを解決するのが、バルクショップです。

容器を持参して量り売りで買うバルクショップ

「バルクショップ(Bulk Shop)」とは量り売り店のことで、お店が仕入れた商品を消費者が持参した容器に詰めて販売する販売方式です。

バルクショップで消費者が得られるメリットは、
1)欲しいものを欲しい量だけ買うことができて、食品などの無駄を減らせること。
2)プラスチック包装ゴミを減らし、ゴミ出しの負担や環境負荷を減らせること。
3)パッケージコスト削減などによって、より安価に購入できる可能性があること。
このように、バルクショップは私たちの毎日の暮らしも未来の地球も幸せにするお店なのです。

バルクショップは、プラスチックゴミ問題に対して先駆的な取り組みを行うEUを中心に普及しています。ドイツでは、使い捨て包装を廃止したスーパーマーケットとして2014年にベルリンにオープンしたOriginal Unverpacktが、オーガニック食品や洗剤などを顧客が持参した容器に詰めて量り売りしています。こうした使い捨て包装なしの量り売り専門店は、ドイツ各地に広がっています。また、2040年に使い捨てプラスチック包装の市場投入を禁止する目標を掲げるフランスでは、食品など生活必需品の量り売り専門店や量り売りコーナーが定着しています。

日本でも、かつては町のお豆腐さんなどで見られた量り売りの風景。そんな古くて新しい量り売りが、プラスチック包装ゴミや食品ロスの削減を実現するサステナブルな販売方式として見直されているのです。

日本でもバルクショップが広がりつつある

脱プラスチックの取り組みが進んでいるフランスやドイツなどで定着するバルクショップは、日本でも少しずつ広がっています。

バルクフーズマーケット

神奈川を中心に展開する「バルクフーズマーケット」は、ナッツ、ドライフルーツ、チョコレート、蜂蜜、オリーブオイルといったナチュラルやオーガニックなどの食品を量り売りしています。顧客はマイ容器を持ち込むか店内で販売される瓶などの容器を購入する仕組みです。量り売りで作りたてのピーナッツバターを購入することもできます。

ビオセボン

東京・神奈川を中心に展開するフランス発のオーガニック・スーパーマーケット「ビオセボン」も、ナッツ、ドライフルーツ、チョコレート、グラノーラなどの量り売りを行っています。顧客はお店に設置された紙袋を選ぶか、自由が丘店・旗の台店では持参した容器で購入することもできます。

ecostore

食品スーパー以外でも、全国に展開するニュージーランド発のホームケア・ボディケア商品メーカー「ecostore」が、リフィルステーションと呼ぶ量り売り実施店舗を設置しています。顧客は容器を持ち込み、通常のボトル商品よりも安い価格で、ボディソープや洗剤などを100ml単位で購入できます。欲しいものを欲しい量だけ、お得な価格で、好きな容器で買える仕組みです。

おわりに

欲しいものを欲しい量だけ買えるバルクショップならば、食べたことのない商品や初めて使うボディソープなどもお試ししやすいでしょう。お店に容器を持参するというちょっとした手間はかかるけれど、お気に入りの容器を持ち込めば、買ったものをわざわざ詰め替えなくても、自分好みのインテリアを楽しめます。そして地球環境にやさしいお買い物は心もほんわか温かくなれそうです。

いまの私も未来の地球も幸せにするバルクショップ、あなたも行ってみませんか。

注1 消費者庁『「倫理的消費(エシカル消費)」に関する消費者意識調査報告書』2020年2月, p.12

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